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病院データ提供拒否は公益目的の理解不足

   [解説]がん調査精度に影響
    病院データ提供拒否は公益目的の理解不足


(2006年2月10日 読売新聞)

 がん登録は、がん対策の根幹となる制度だが、実施体制の脆弱(ぜいじゃく)さや啓発不足などのため、精度の低さが問題になってきた。今回の調査では、個人情報保護を巡る過剰反応が公益目的の調査の危機に追い打ちをかけている現状が浮き彫りになった。

 登録に非協力的な医療機関などは、本人の同意が全員からは得にくいことや、情報流出のリスクを問題にしているとみられる。「登録の意義や個人情報の利用のされ方を説明する努力を関係者が怠ってきた面もある」(田島和雄・愛知県がんセンター研究所副所長)のも事実だろう。

 だが、医療の充実にかかわるがん登録は個人情報保護法上も明らかに適用除外で、医療関係者には厳しい守秘義務も課せられている。登録が浸透すれば、がん対策に役立つだけでなく、個別の治療成績を病院選びの材料にできるなど、患者個人の利益にもかなう。

 非協力な対応の背景には、法律への無理解や責任回避に走る意識がある。厚生労働省の地域がん登録に関する研究班の丸山英二・神戸大教授によると、独仏では登録への拒否権を認めている地域が多いが、米国、カナダでは公衆衛生を重視し、患者の同意なしで登録を認める考え方が主流だ。万全の流出防止対策を講じながら情報を有効に活用する。そのための前向きな議論が必要だろう。(社会部 中村亜貴、横浜支局 今川友美)



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